愛媛フェア2024 開催中
「ビストロJ_O（ジョー ）」

愛媛県のイチオシ食材とワイン──
とびきりのマリアージュを体験してみませんか

鮮やかな色彩と豊かな香り、深みのある味わい──。「お客さまに最後のひと口まで楽しんでいただけるよう、単調な味付けにならないように工夫しています」と語るのは、銀座の人気店「ビストロJ_O」のシェフ、亀山大樹さん。愛媛県産の食材を使ったフェアでは、亀山シェフ独特のエレガントな美食の世界を堪能することができます。

テーブルに料理が運ばれてきた瞬間、ゲストのハートをつかむその見た目の華やかさは、亀山シェフが創り出す料理の特徴のひとつです。
「銀座という土地柄もあり、うちのレストランをごひいきにしてくれるお客さまは、食べることが大好きな女性の方が多い。そこで美味しさはもちろん、見た目の美しさにも気を使っています」（亀山シェフ、以下同）
そんなシェフが、今回のフェアの食材として選んだのが、愛媛県自慢のブランド魚「媛スマ」と柑橘王国ならではの「甘平」。これらの食材をメインに、カルパッチョとフリット、2つのアラカルト料理を提供します。

マグロとカツオの美味しさを併せ持つ
「媛スマ」の魅力を最大限に活かして

「『媛スマ』を調理するのは、今回のフェアが初めてなのですが、味わいはマグロに近く、またすこしねっとりとした身質はカツオに似ている。脂ののりもよく、非常に美味しいと思います」

まずはカルパッチョから。
「媛スマ」に軽く火を入れて休ませたら、鮎の魚醤で風味付けをしておきます。
付け合わせは、スライスした紅芯ダイコン、黒ダイコン、青首ダイコンのほか、エディブルフラワーなど。「媛スマ」のねっとりとした食感と、ダイコンの小気味よい食感との違いも楽しいひと皿です。さらに、ユズ風味のドレッシングとポン酢のジュレが、全体を引き締めて、「媛スマ」の脂をより上品でさわやかに演出します。
「いろいろな風味を調和させながらひと皿に盛り込み、最後まで飽きることなく召し上がっていただくというのが、このお店のコンセプト。
媛スマにダイコン、ユズ、ポン酢などのさまざまな味と、魚のほどよい弾力に野菜のシャキシャキ感、そしてジュレのやわらかさなど、多彩な食感も組み込みました」

最後の仕上げにのせたのが、フレッシュな「甘平」の果肉をほぐしたもの。液体窒素で固めているので、ひんやりとした舌触りと柑橘のツブツブ感が際立ちます。

「媛スマ」の脂をより上品に
決め手は低温発酵によるころもの軽さ

「媛スマ」を使ったもうひと皿は、ガラッと雰囲気を変えてフリットに。
揚げ物とはいえ、軽やかに仕上げたかったので、フリットのころもは、4℃で1日半ほどかけて発酵させているといいます。
「こうすることで、弾力がありつつ、サクサクした薄い揚げパンのような食感のころもになるんです」

冷蔵庫で超低温発酵させたころもを使うと、ひと味違うフリットになる。

さらにフリットには、アオサを混ぜて風味豊かに。ホタルイカとフキノトウを入れ、ニンニクの風味をきかせた濃厚なソースも嗅覚を刺激します。
「同じ『媛スマ』を使いつつ、タイプの違う料理をご用意したのは、食材としての『媛スマ』の可能性を表現したかったのはもちろん、ゲストにはその美味しさをワインと一緒に実感してほしかったからです。
魚には、普通、白ワインやシャンパンを合わせるので、カルパッチョのほうは、そのような味に仕立てています。しかし、フリットのほうは、フルボディの赤ワインにも合うような味わいになっています。
ですから、ワイン片手に、両方のお料理にトライしていただけたら嬉しいですね」

ワイン好きにもたまらない愛媛フェアに、今日も美食家たちが集います。

ホタルイカ、フキノトウ、ニンニクなどでバーニャカウダー風に仕上げたソースを炭火で焼いたホワイトアスパラガスの上にたっぷりとかける(左)。この上に「媛スマ」のフリットを盛り付けたら、からすみを削りかけて仕上げる。

亀山大樹さん
1987年、千葉県生まれ。大学卒業後、「リストランテ・ヒロ」に入社。丸ビル店で6年ほどイタリア料理を学ぶ。その後、数多くの飲食店を手掛ける「ワイズテーブルコーポレーション」へ。銀座や六本木のレストランでシェフを務めた後、2019年、「ビストロJ_O」のオープンと同時にシェフに就任した。ゲストにはリピータも多いため、1か月に1度の割合でコース料理の内容を変えているという。

取材・文／上村久留美　撮影／依田佳子